SEXUALITYORIENTATIONGENDERBIOLOGY
TRANS* SEXUALITY

特に性的マイノリティー非当事者の間で混同されがちな性同一性 vs. 性指向について、そしてトランス*当事者でも知識が浅いひとが多い、生物学的性別の分化などについて、大雑把なまとめ。

* このサイトを作り始めた頃は、TS/TG当事者でも『FTMでゲイなんてのはイカガワシイ』という人が多かったけど、ここ数年で随分変わったもので、「性同一性と性指向は別物です!」って書いてるサイトが多くて、 喜ばしいことです。 なのでまあ、ここでもそれをやる必要は無いのかもしれないけど、主に迷い込んで来た非当事者の方々のために残しておこうと思います:

 一般的なカンチガイ

性自認と性指向の混同は、非当事者の間ではハッキリ言って標準的な状態である。
たとえば落語?で

「男の水死体は仰向け、女はうつ伏せで浮いてくる。ある日、横を向いて上がったのがいたと思ったら、オカマだった」

というのがあったらしい(ソースが見つからん、落語じゃなくて単なるネタかも)。
MTFとゲイの男性を混同した「オカマ」という単語の存在が全てを物語っているとも言えるのだが(最近は「オネエ」か?)、「オカマ」という表現が「ゲイの男性」を意味するなら、これはもう完全に意味不明でしょ?

こういう例は枚挙に暇がないが、もうひとつ、川原泉氏の漫画で「メイプル戦記」という日本初の女性メンバーのみで構成されたプロ野球チームの話があって、神尾瑠璃子(本名・聡史)という「オカマ」が登場する。この人は優秀なピッチャーなんだけど、高校時代にバッテリーを組んでいたキャッチャーに恋をして「体は男でも心は女」ということに気がついて「オカマ」の道を歩き出す、という設定。この「男が好きだから、男を捨てて女にならなきゃ」という発想は、この非常に初歩的な誤解に基づくことは明らかなのだが、残念ながら非当事者の間ではかなりよく見られる思考パターンですね。

つまり、性転換を望む人間(トランスセクシャル)は『極端な同性愛者』だと思っている非当事者が多い、ということ。オカマが過ぎてニューハーフになった、とか、男にモテないからオナベになって、結局オトコになった、とか。このへん、すべては性同一性と性指向をごっちゃにしちゃってることから生まれる誤解です。

MTFで元ゲイが多いとか、FTMで元ビアンが多い、というのは、自分がトランス*であると受け入れ、金・時間・労力のかかるトランジションを実行するよりも前に、まずは自分の性指向に忠実にゲイとしてカムアウトする人が多いから、っていうだけの話(ゲイFTMやビアンMTFなどは、ゲイコミュニティーの一員になるとしたら概ねトランジション後ですし)。最近ではトランス*の露出も多くインターネットのお陰で若くして自分がトランス*と気が付く人が多いけど、ひと昔前まで「性転換」なんてかなりタブー視されて、情報が殆ど出回ってなかったからね。

ただ、日本ではゲイリブウィメンズリブフェミニズムの浸透を充分に経ずに、トランス*を『(性同一性)障害』と見なす法整備が先行したことによるトップダウン型の『社会的容認』の形が出来てしまったことも関連してか、欧米と比較するとLGBTQ当事者の間ですら性同一性と性的指向の混同が多く見られる気がするのは、なんとも残念。
LGBTQ当事者による混同は、下手すると性急で不可逆的な医療的介入(ホルモン治療手術ね)に繋がりかねないから、ヒジョーに危惧すべき問題だと思う。
昨今流行りの『おネエタレント』や民放メディアも、その点については全く助けになっていない、てか寧ろ誤解を助長する放送内容が目につき、管理人はとっても絶望的な気分になるよ・・・。

* LGBTQ = レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランス*、クィア
*「トランス*」の表記は、トランスなんちゃら(ジェンダー、セクシャル、etc.)を全て含む広義でのトランス、という意味で

性的指向 vs. 性同一性

管理人は「クィアでTG」と自認しているけど、ゲイ・クィアである事とFTM・TGである事の間に直接的な繋がりは無い。「自分はどの性に惹かれるか」いう問題(性指向)と「自分が男か女か」 (性同一性)とは、個人のセクシャリティーに関する全く別々の重要な要素なのである。この後者が生物学上の「性別」と噛み合わないのが「性同一性障害」と呼ばれるもの。つまり、

性同一性 (Gender Identity) :  自分の性が男/女/その他である、という認識

性的指向 (Sexual Orientation) :  性的に惹かれる対象(男が好き、女が好き、どっちもいける、など)

性別 (Sex) :  生物学上の身体的性別。オス、メス、インターセックス等

ということです。

ということは、初心者に分かりやすいようグラデーションを無視して超単純化すると、人間のジェンダー&セクシャリティーは以下のように「カテゴリー分け」ができます(但し「FTM」や「MTF」という単語は基本的に「性同一性と生物学的性別の不合致」という表現であり自認ではないので、注意):

A 性的指向
@ 性同一性 両方 B 生物学的性別
ゲイの男性 バイの男性 ノンケの男性
ゲイFTM バイFTM ノンケFTM
ノンケMTF バイMTF ビアンMTF
ノンケの女性 バイの女性 レズビアン

分かりやすく(?)著名人を例にしてみようか。
必ずしも本人の自認とは限らないが、公のプロフィールを基に一番近いと思われるのは:

ここで『超単純化して』ということわりを入れたのは、性的指向性同一性も、そして生物学上の性別でさえ、完全に二者・三者択一ではないのが現実だからであり、こういうカテゴリー分けは不毛と言っちゃ不毛。

最終更新日:2014年4月8日

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