FTMCHESTSURGERY
TRANS* SURGERIES 乳房切除術
『乳房は脂肪の袋なんだから、脂肪吸引すればいいじゃないか』と言いたくなるところだが、残念ながらそう単純ではないのが乳房。その理由は主に
- 乳房は脂肪だけで出来ているわけではない
- 余った皮膚の自然収縮には限度がある
の2点。
ご存知のように、第二次性徴後の♀の場合は乳腺(mammary glands、母乳を作る組織)が発達しているので、実際は脂肪だけではないんです。
男性の女性化乳房(gynecomastia)の場合、脂肪が殆どを占めていることもあり、その場合は脂肪吸引だけで済むけど、FTMの場合はたとえ小さめの場合でも繊維質のような乳腺が発達しているため、吸引だけでは困難な場合が多い。ハサミやメスでざくざく切らなければならない場合が殆どで、逆に脂肪吸引に頼り過ぎると力任せになってしまい、組織にダメージを与え、回復を遅らせたり癒着の原因になったりしてしまうようです。
また、上手く乳房の中身を取り出したところで、そのままでは伸びきって萎んだ風船のような状態に。小さめの場合は切開したところの周りから縫い縮めることができるけど、大きいめの場合(一般的にCカップ以上)や小さめでも皮膚の伸縮性が乏しかったり、下垂が著しかった場合は、余った皮膚の切除が必要になります。
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まずは、2〜3の用語から:
- "MASTECTOMY" 【mast-(乳房)+ -tomy(切除)】
医学用語での乳房切除手術は mastectomy と呼ばれるが、主に乳癌になった女性がその治療として受ける手術を指す。その場合、美容整形外科医ではなくて一般の外科医が執刀し、乳首は保存せず、リンパ腺や大胸筋まで切除する場合もあるらしい(最近は乳房ごと取らないでリンパ腺だけ取ることも多いとかなんとか)
。そのため、「Mastectomyの専門家」による手術を受けたが、見た目に注意しないので、酷い結果になってしまったという人もいるので、要注意。FTMの場合は、FTMの乳房切除手術経験の豊富な美容整形外科へ行くのが無難。
参考:乳癌治療目的のmastectomyの術式説明と症例写真(Breastcancer.org)
- "CHEST RECONSTRUCTIVE SURGERY"
乳癌治療との混同を避けるために、FTMが受ける乳首の縮小and/or移動を含む男性的な胸を形成するのが目的の手術は、特に chest reconstructive surgery(胸部再形成手術?)と呼ばれることがある。
- "BREAST REDUCTION"
乳房が大きすぎて日常生活に支障を来す一般女性が受ける乳房縮小手術を指す(「reduction」であり「removal」ではないのがポイント)。アメリカの場合、取り除く組織の重量が片方当たり500グラム以上で生活に支障があると証明できれば、医療保険の種類によってはカバーされるので、FTMでもこれを先に受ける人がいる(この名目で完全に取ってくれる医師は殆どいないみたい)。多くの場合は乳輪の下から逆T字型の傷痕が残るLeJour Methodで行われるようである。
- "GYNECOMASTIA" 【gyn-(女性)+ -mast(乳房)+ -ia(病気)=女性化乳房】
男性の乳房が女性的に肥大するコンディション、女性化乳房。その整形手術は単純に gynecomastia surgery と呼ばれる。テクニックはFTMの乳輪切開と殆ど同じで、人によって脂肪吸引のみで済むが、乳腺が大きい場合にはメスやハサミを使って切除するらしい。
参考:Klinefelter's
Syndrome (XXY) の人の女性化乳房・手術前後写真
因みに、米国で胸OPを受ける際のステップは、基本的にWPATH Standard of Care(ガイドライン) に基づいて行われるが、医師によって方針はいろいろ。
- カウンセラー(精神科医でも臨床心理士でも可)からの診断書(therapist's letter)が1通必要なことが多い
- ホルモン治療の有無は問われない場合が殆ど
- 予約の待ち時間はいろいろだが、大体は最短で1〜3ヶ月程度の場合が多い模様。
- 予約料、コンサルテーション料などを取られるが、大抵は手術費用の一部として受け取られる。
- 全身麻酔で、外来 (入院無し) が普通。
また、言うまでも無いことですが、意思疎通ができない(ある程度の英会話能力がない)と、インフォームド・コンセントも不可能なので、手術は引き受けてもらえません。基本的に「外国人だからダメ」、ということは無い筈ですが、医療行為なので、幾らなんでも会話が成り立たないことには難しいでしょう。北米での手術をご希望で通訳が必要な方は、本サイト管理人が場合によって同行可能なのでご相談ください。
最終更新日:2014年3月19日
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