INTERSEX
TRANS* SEXUALITY インターセックス

管理人はIS当事者ではないのですが、ISも大まかには『性的マイノリティー』の一種ですし、ジェンダーやセックスを理解する上で生物学的性別の曖昧さを理解することは必須だと思うので、このページを設けました。
ただ、聞き齧ったことを羅列しているだけなので、もし不適切な表現や間違いなどがありましたら、ご指摘戴けると幸いです。

 インターセックスって?

性同一性障害が心の性の問題なら、インターセックスとは体の性の問題。つまり生殖器管の見た目又は機能が、二元的なオス・メスの域から逸脱している状態の総称。外生殖器が生まれつきユニークな場合は出生時に判明するけど、第二次性徴の異常や不妊症などで医者にかかって初めて判明する場合もある。日本語では『半陰陽』や『両性具有』などとも呼ばれてきたが、2009年10月の日本小児内分泌学会の総会で『性分化疾患』に統一された模様。

ISNAによると、出生時に外生殖器が明らかに特異である新生児は、1500〜2000人に1人ほどらしいが、パッと見では気が付かないような微妙なバリエーションや内生殖器官の異常、それに後の発達/未発達でようやく表面化する場合、更に一生表面化しない場合などを含めると、実際のインターセックス当事者の数はずっと多い、ということになるらしい。

また、インターセックスの要因となるコンディションによっても頻度はいろいろ。中でも比較的頻度の高いのは染色体異常で、クラインフェルター症候群(XXY、XXXYなどの余分なX)は1000人に1人、ターナー症候群(XO)は2500人に1人と言われている。

出生時に外生殖器の『異常』が見られる場合、本人のインフォームド・コンセントを待たずに手術で見た目を『普通』にする『治療』が、残念ながら今現在も行われているらしいが、当事者たちによる働きかけで、徐々に早まった『治療』を控える方向に向かっているようである。

 インターセックスコンディションと要因

ひとことでインターセックスと言っても、コンディションや原因は多種多様。ただ、性同一性や性指向のように脳味噌の中の問題ではないので、少なくとも直接的因果関係は明確であるものが多いように思います。生殖器官の分化に関しては生物学的性別の分化のページを見るともうちょっと判りやすいはず。

代表的なインターセックスコンディション

性腺形成不全 gonadal dysgenesis

性腺(卵巣・精巣)が通常通りに分化しない状態の総称。スワイヤー症候群(46XY)、ターナー症候群(主に45XO)、XX性腺形成不全(46XX)などに見られる。

スワイヤー症候群 Swyer syndrome

XY性腺形成不全。外性器は正常な女性型だが、染色体が46XYで機能する性腺(卵巣)を欠き、第二次性徴が訪れない。SRYの異常が主な原因。→体の性分化のページ参照

マイクロペニス(小陰茎) micropenis

陰茎の形成は正常だが、サイズが極端に小さい状態。マイクロペニスと診断されるには、染色体が46XYで尿道口が亀頭の先に位置し、陰茎の全長が伸ばした状態で標準偏差2.5以下であることが条件らしい。

陰茎無形成 aphalia

男児で、陰茎が欠損しているがほかの部分については正常な状態。

尿道下裂 hypospadias

尿道口が亀頭の先端ではなく、亀頭又は陰茎の下側に開いている状態。

陰核肥大 clitoromegaly

女児で、陰核が『正常域』よりも大きい状態。

メイヤー・ロキタンスキー・クスター・ハウザー症候群 Mayer Rokitansky Kuster Hauser Syndrome (MRKH)

46XXの女性に見られ、膣欠損症とも呼ばれる。正常に機能する卵巣が存在するため第二次性徴も見られるが、膣、子宮頸、子宮が欠損又は不完全で、月経は無く、妊娠は不可能。腎臓疾患や難聴などを伴う場合もある。

真性半陰陽 ovotestes

卵巣と精巣の両方の組織を併せ持つ状態。卵巣と精巣の組み合わさった性腺を持つ場合、卵巣と精巣をそれぞれ1つずつ持つ場合、又はその他のコンビネーションが考えられる。外性器は性腺のタイプとはまた別で、女性型、男性型、中性型と様々であるらしい。

仮性半陰陽

遺伝子上の性別と外見の性別が合致しない状態。性染色体がXYの場合を男性仮性半陰陽(5-α 還元酵素欠損症、AIS、尿道下裂など)、XXの場合を女性仮性半陰陽(CAHなど)と呼ぶらしい。

 

インターセックスの要因となる代表的な『疾患』

5-α 還元酵素欠損症 5-α reductase deficiency

常染色体の劣性遺伝によるもの。46XYの胎児で、DHT(テストステロンから5-α 還元酵素によって作られる)の欠乏によって外性器が分化せず、出生時に女児と決められるが、思春期になって男性化が始まり判明する。→体の性分化のページ参照

アンドロゲン不応症 androgen insensitivity syndrome (AIS)

46XYの胎児で、アンドロゲン(テストステロン)受容体が機能せず、女性型の外性器を持って生まれる。 体内総てのアンドロゲン受容体が機能しない完全型(complete androgen insensitivity syndrome、CAIS)と、一部が機能する部分型(partial androgen insensitivity syndrome、PAIS)とがあり、出生時の外性器も完全にメス型〜曖昧な状態〜完全にオス型までバリエーションがあるとか。部分型で軽度の場合は普通に男性として生活するが、不妊によって判明する場合もあるらしい。→体の性分化のページ参照

先天性副腎皮質過形成 congenital adrenal hyperplasia (CAH)

常染色体の劣性遺伝によるもの。副腎のコルチゾール生産に必要な酵素を欠くため、それを補おうと副腎皮質のステロイドを生産する細胞が過剰に形成され、その結果男性ホルモンの過剰分泌が起こる。重症の場合は命に関わる塩分の過剰消耗が見られることがあり、また46XXの女児の外性器の男性化(陰核肥大)の一番多い原因らしい。中程度のCAHでは外性器でも男性化が見られ、軽度の場合も不妊症などとして男性ホルモンの影響が現れるらしい。(注:約95%のCAHは21-hydroxylaseの欠乏によるもので、以上の症状が見られるが、他の5%は別の酵素の欠乏で、症状も違うらしい。)

クラインフェルター症候群 Klinefelter syndrome

染色体が47XXYの状態。500〜1000人の男性に1人と、比較的よくある。精巣が小さい、不妊症、男性ホルモン不足による不完全な第二次性徴、骨粗鬆症、女性化乳房などを含む症状が見られる。ジェンダーアイデンティティーが女性(つまりMTF)である割合が一般よりも高いという話もあるが、真偽は不明。

ターナー症候群 Turner syndrome

性染色体が 45XO (XXの片方が欠如)、X染色体が一部欠損、または45XO/46XXのモザイクの状態で、外生殖器はメス型。個人によってバリエーションがあるが、無月経や不妊の他、低身長、低い耳、広い胸その他の身体的特徴が見られることがあるらしい。

性染色体のモザイク sex-chromosome mosaicism

性染色体(XとY)のコンビネーションが細胞によって異なる状態。46XY/47XXYモザイクのクラインフェルター症候群、45XO/46XXのモザイクのターナー症候群など。
極々稀に、親の遺伝子の異なる組み合わせ又は二卵性双生児の片方がもう片方の遺伝子を併せ持ったキメリズム(chimerism)という状態もあり、XX/XYのキメラの場合、インターセックスとなる。

 インターセックスとトランスジェンダー

LGB(レズビアン、バイセクシャル、ゲイ)と同じカテゴリーに入れられがちなトランスセクシャル/トランスジェンダーだけど、インターセックスとも共有する部分が少なくとも同じくらいあるんじゃないかと思うんですが、どうでしょう。

TS/TGの人間というのは、非当事者から見れば「男は男らしく、女は女らしく」という枠からはみ出ているし、ヘテロのTS/TGは非当事者からしたら「極端なゲイ・レズビアン」に見えるかも知れないけど、TS/TG当事者から見れば「男の体はこういうもの、女の体はこういうもの」という枠からはみ出しているISとの方が心境的には近いような気がする。『治療』を希望する場合は医者の世話にならなきゃいけないという点も似てるしね。それに身体的トランジション中〜トランジション後のTS/TGは、身体的にISだし。

ただ、「自分の身体的性別に対する違和感」というのはTS特有のものかと。でも一番の違いは、TS/TGの場合、体の性別に関して医学的には『問題』が無いため、非当事者からは『治療』はオプショナル、酷い場合は「頭がおかしい」と思われがちだが、ISというカテゴリーは心の性の問題では無く、あくまで医学的な『奇形』とみなされているため、『治療』を受けて当然、と思われている、という部分でしょうか。なので、どっちかってーとISは「障害者」のカテゴリーに、TS/TGは「変態」のカテゴリーに入れられがち。だからどっちがより深刻か/「マシ」か、という問題じゃなくて、単に違いとして。

しかしまあ、大体どんなカテゴリー分けをしても、カテゴリー間をオーバーラップしたり何処にも属さなかったりする人は必ずいるわけで、こうやって明確なカテゴリーにしなきゃならないこと自体が馬鹿馬鹿しいと言えばそれまでで。いずれにせよ、「性別二元論」がTS/TG・LBG・IS共通の悩みの種であることには変わりない。

最終更新日:2009年10月8日

 

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