SEXUALDIFFERENTIATIONINHUMANS
TRANS* SEXUALITY 生物学的性別

トランスセクシャルにとって、自分自身の生物学的性別は納得いかないところだけど、実際どうやってこのようなものが出来るのか、という仕組みは、調べてみるとなかなか面白いんですよ。また、これがある程度分かってると、ホルモンや手術によるトランジションに関する理解も深まり、変な誤解や根拠の無い期待も避けられるんじゃないかと思います。以下、人間の生物学的性別のできるまで(哺乳類はほぼ共通)を、素人である管理人の理解できる範囲内でカンタンにまとめてみました。

オススメ ↓
How the Body Works: Sexual Differentiation (AboutKidsHealth.ca) COOL
性別の分化をアニメーションでわかりやすく説明

I. 初期設定はメス

哺乳類の場合初期設定はメスで、少なくともメスの外性器の形成には、卵巣やホルモンは必要無い

一方、生殖器官が内外とも『正常』なオスになるには、以下の要素が必要不可欠:

『オス』の素:
  1. SRYという遺伝子を保有するYを含むXY性染色体
    • 精巣の分化
  2. 精巣(生殖腺)
    • テストステロン
      • ウォルフ管の分化(輸精管)
      • DHTに還元 → 外性器の分化
    • MIH → ミュラー管(未分化の卵管)の消滅
  3. テストステロン(ホルモン、精巣から)
    • ウォルフ管(中腎管=未発達の輸精管)の分化発達
    • DHTに還元 → 外性器の分化
  4. MIH(ホルモン、精巣から)
    • ミュラー管(中腎傍管=未発達の卵管)の消滅に関与
  5. 輸精管 (生殖管)
    • ウォルフ管より発達
  6. 5-α-リダクターゼ(酵素)
    • テストステロンをDHTに還元 → 外性器の分化(陰嚢、陰茎、亀頭、膣の閉鎖)
  7. 各ホルモンの受容体(レセプター)が正常機能すること。

II. 生物学的性別が決まる順番

  1. 性染色体(主にXX/XY)
  2. 生殖腺(精巣/卵巣)
  3. ホルモン(テストステロン & MIH/エストロゲン)
  4. 生殖管(輸精管/卵管)
  5. 外性器(陰嚢・陰茎・亀頭/大陰唇・小陰唇・陰核)
@



人間の染色体
23対、計46本(「正常」な場合)
23対目=性染色体(XYの2種類)
一般的に、XXだとメス、XYだとオスになる。

稀なケース:
受精卵のもとになる精子又は卵子ができる際の減数分裂の異常

  • XO = ターナー症
  • XXX = ”superfemale"
  • XXYXXXY etc. = クラインフェルター症候群(余分なX
  • XYY = "supermale"
  • モザイク(細胞ごとに染色体が異なる)

などなど。

性染色体の典型的な組み合わせ
XYSRYあり) XXSRYなし)

A


生殖腺の決定
染色体上のSRYSex-Determining Region Yという部分が司るTDFTestes-Determining Factor、精巣決定因子)によって精巣が分化。SRYが無ければ卵巣が分化。

ごく稀なケース:
  XX male/XY female - 父親の精巣内での減数分裂の際に、遺伝子組み換えによってSRYがYからXに移ってしまったり、SRYに異常があることが、ごく稀にある(数十万〜数百万人に1人)。その場合、XXの男性又はXYの女性になる(器官はある程度正常に発達するが、生殖機能が無い場合が多い)。

TDFSRY)あり=精巣 TDFなし=卵巣

B



生殖腺からのホルモンの分泌
MIHとテストステロンの有無によって、未分化の生殖管の行方が決まる。また、胎内での脳のエストロゲン曝露によって、脳の周期性の有無が決まる。
精巣
1. セルトリ細胞(Sertoli cells)MIH(Mullerian Inhibiting Hormone、ミュラー管発達抑制因子)分泌
2. ライディッヒ間細胞(Leydig cells)テストステロンを分泌

卵巣
エストロゲンを分泌

C


生殖管の分化
性別が未分化の胎児には、ミューラー管(Mullerian duct、中腎傍管)とウォルフ管(Wolffian duct、中腎管)の両方がある。

どちらが発達し、どちらが消滅するかは、精巣から分泌されるMIH(ミュラー管抑制ホルモン)とテストステロンの有無が鍵となる。
MIH(精巣・セルトリ細胞)ミューラー管消滅

テストステロン(精巣・ライディッヒ間細胞)ウォルフ管発達 → 輸精管(vas deferens)

稀なケース:
@ MIH無し・Tあり → 両方発達
A MIHあり・T無し → 両方消滅
B アンドロゲン不応症候群

MIHなし → ミューラー管発達 → 卵管(fallopian tube)

テストステロンなし → ウォルフ管消滅

稀なケース:
過剰なアンドロゲン曝露(CAHなど) → 両方発達

D


未分化の外性器には、主に生殖結節(genital tubercle)生殖隆起(genital swelling)尿道ヒダ(urethral fold)などの部位がある(右図参照)。

外性器の皮膚には、テストステロンDHT(dihydrotestosterone、デヒドロテストステロン)に還元する5-アルファリダクターゼ(5-α reductase)という酵素がある(ホル注で陰核が肥大するのは、この酵素のため)。

テストステロン5-アルファリダクターゼDHTの作用により、
生殖結節亀頭
尿道ヒダ陰茎
生殖隆起陰嚢

稀なケース:
5-αリダクターゼ欠損症

テストステロンなし:
生殖結節陰核
尿道ヒダ小陰唇
生殖隆起大陰唇

性別の分化について、この程度知ってると、ホルモン治療などで何が期待できるか、オスとメスではどこがどういうふうに違うのか、またインターセックスコンディションについても、よりよく理解するのに役立つんじゃないかと思います。

参考資料:

最終更新日:2009年10月2日

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