骨粗鬆症対策
卵巣摘出による一番深刻な問題の1つは、骨密度の低下かも。FTMの場合、テストステロン治療を続けていれば閉経後の女性ほど急激には減らないようだけど、それでも自然に閉経するような年齢よりも大分以前に卵巣摘出してしまうため、若くして骨密度の低下が始まる恐れがあるので、自覚と予防が大切なんじゃないかな。FTM医師にメールで訊いたところ、以下の返事が返ってきました:
一番の予防策は、ビタミンDとカルシウムの摂取とウエイトを使った運動を今すぐ始めること。そして、卵巣摘出手術を受けて数年したら病院で骨密度を測定して、骨の状態をみることです。骨粗鬆症になるまでのんびりしてちゃいけません。毎日のカルシウム+ビタミンD摂取がものすご〜く重要!骨粗鬆症がこれだけ大きな問題なのは治療が困難ということよりも、むしろ一般庶民の間での関心が殆ど無いからで、腰の骨折れたりしてやっと気が付くんです。
と、いうことで、骨粗鬆症予防対策をリストにするとこういう感じ:
骨の材料として特に重要なのが、カルシウムとビタミンD。総合的に見て一番安全で効果的な方法はサプリメントからではなくバランスの良い食事から摂取すること [1]。食物にはビタミンD以外にもカルシウム吸収に深く関わる栄養素も含まれていて、サプリメントによる単独摂取よりも効果的。
カルシウムの摂取推奨量(mg/日):
日本(♂/♀) [2] | アメリカ(♂/♀) [3] | ||||
15〜29歳 | 800 | 650 | 18〜29歳 | 1,300 | |
30〜49歳 | 650 | 19〜50歳 | 1,000 | ||
50〜69歳 | 700 | 650 | |||
70歳以上 | 700 | 600 | 51歳以上 | 1,000 | 1,200 |
上限量は、2,300〜2,500 mg/日。でも食事からそれだけ摂るのは至難の業なので、基本的に過剰摂取は気にしなくても大丈夫みたい。
参考までにアメリカの推奨値も(平均体重の差か?)。特に日本の基準はソースによってマチマチなんだけど、大体一日あたり650〜800mgくらいを目指せば良いってことかな。
カルシウム含有量が多い食品例:
牛乳をはじめとする乳製品はカルシウム源としてもっとも効率がよく、豆腐や納豆などの大豆製品、骨ごと食べられる小魚、ひじき・わかめ・のりなどの海草類、小松菜やちんげん菜などの緑黄野菜 [1]
1食分あたりのカルシウム含有量目安例:
これはどんな目的の食生活にも言えることだけど、栄養素・成分の偏った摂取を避けるため、単品からではなくなるべく多様な食品から摂るように心掛けましょう。「ヨーグルト毎日1キロ」とか極端なことしないの。
ビタミンDの摂取目安量 [6] :
骨強化効果のある運動の例:
遺伝的・不可変な要因:[7]
習慣的・可変的な要因:[7]
骨粗鬆症は、基本的に日頃の心がけ次第で予防できる病気だし、なってしまってからの治療は難しいので、若いうちから意識することが重要。性ホルモンは骨密度維持に大変重要な役割を果たすので、内摘後はテストステロン充填を欠かさず受けることは必要不可欠。定期的な血液検査によるホルモン値その他の確認は勿論、内摘から数年後からは定期的に骨密度の測定も大切です。
また、健康な骨の形成は30歳までが勝負という話もあるので、特に現時点で30歳以下の人は「カルシウム+ビタミンD+運動+禁煙+節酒」の良い習慣が作られれば理想。備えあれば憂い無しですよ。
* UPDATE * ホルモン治療と骨粗鬆症についての文献は「テストステロンにまつわる誤解・嘘・誇張」の「#11: ホル注すると骨粗鬆症になる」を参照。
参考:
[1] どうすれば予防できる? - 公益財団法人 骨粗鬆症財団
[2] カルシウム - 「健康食品」の安全性・有効性情報
[3] Calcium - NIH Office of Dietary Supplements
[4] みんなの食育 大切な栄養素 カルシウム - 農林水産省
[5] ミルク解体新書 第1回 カルシウム学 - 一般社団法人 Jミルク
[6] ビタミン D - 「健康食品」の安全性・有効性情報
[7] Osteoporosis Health Center - WebMD
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