METOIDIOPLASTY
TRANS* SURGERIES 陰核陰茎形成術

陰核陰茎形成術

  1. 概要・特徴
  2. 陰核とその周辺の解剖学的構造
  3. リリースのみ(Simple Metoidioplasty)更新
  4. マイクロペニス形成
  5. 陰嚢形成+睾丸インプラント
  6. 尿道延長
  7. 「The Centurion」

SRSの先駆者 Dr. Donald Laub Sr.(引退)が開発&命名。Metaoidioplasty、Metaidioplastyというスペルの場合もあり、当事者の間では略して「Meta」と呼ばれることが多い。

術式の詳細、特に尿道延長に関しては医師によってかなりのバリエーションがあるが、陰核陰茎形成術とは基本的にホルモン治療によって肥大した陰核を周囲の靭帯や組織から解放し根本を恥骨の位置まで持ってきて、マイクロペニスに仕立て上げるという方法。少し肥満気味の場合は周囲を脂肪吸引し、下腹部の皮を切除して全体を吊り上げる(mons resection)ことによって、より前方に突き出たように見せることもできる。 メインの手術は3〜5時間(医師・術式にもよる)。

この手術の利点は、

だが、問題になりうる特徴としては、

というところだろうか。

Metaの場合、元の大きさがそのまま出来上がりの大きさを左右することになるので、受ける人はホルモンを数年やった人に殆ど限られている。手術まで定期的なパンピングで少しでも大きくしようと試みる人も多い。術後も続けるように指導する医師もいる。また、テストステロン/DHTクリームを塗るように指導する医師もいるが、FTMに効果があるという裏づけは無く、効果が無いため陰核肥大目的の処方をやめた医師もいる(マイクロペニスを持って生まれた幼児には効くらしいが)。

陰核とその周辺の解剖学的構造

陰茎と陰核

どういう手術なのかある程度理解するには、手術する部位の基本的な解剖学的構造の知識があったほうが良いと思うので、カンタンな解説を(かと言って自分もハッキリ判ってるわけじゃないのだが・・・)。一番良いのは図解を見ることだろうね。(下記「参考サイト」参照)

一般的に陰核(clitoris)と呼ばれるのは、露出している豆状の器官を指すが、実はあれはまさに氷山の一角。全体は「人」という字みたいな形をしている(この図参照、左上が陰茎、右上が陰核の全体図)。先端は陰核亀頭(glans)といい、足の部分は陰核脚(crus)、亀頭と脚を繋ぐ部分を陰核体(body)と呼ぶ。陰核にも海綿体が備わっていて、オスの陰茎ほど顕著ではないが、充血によって肥大する。

陰核体の背面(上側)には神経や血管の束がある。腹面(下側)には幅の広い尿道板(urethral plate)という海面体様の組織が接していて、陰核を下向きにしている。陰核の背面には陰核提靭帯(suspensory ligament)があり、また下を通る陰核ワナ靭帯(fundiform/round ligament) もある。

参考サイト:The-Clitoris.com閲覧注意3DVulva.com閲覧注意ウィキペディア『陰核』閲覧注意

リリースのみ Release Only/Simple Metoidioplasty

尿道延長を行わず、陰核を周囲の組織からリリース(開放)してマイクロペニスを形成。具体的な方法は医師によってバリエーションがあるが、一般的には亀頭の包皮切除(割礼みたいなもの)と陰核腹面の組織の切除にとどまり、陰核提靭帯はそのまま、らしい。陰嚢形成+睾丸インプラントも受けない場合は特に男性器として『パス』するのは難しいが、形状を変える事によって充分に性別違和が緩和され、満足する人も。後により本格的な陰核陰茎形成や皮弁による陰茎形成を受けるオプションも残されるので、あくまで将来的な陰茎形成の全段階として受ける人もいる。陰嚢形成+睾丸インプラントも行うと、尿道延長をした場合と外見はほぼ同じ。

「リリースのみ」のメリットは主に以下の通り:

    1. より低侵襲 = ダウンタイムがより短い
      • 術後のカテーテル留置が不要
      • 膣閉鎖が不要(尿道延長を伴う場合はほぼ必須)
        • 内摘無しでも施術可→妊娠出産機能の維持可能
      • 合併症発症率が低い(尿道延長に伴うろう孔・狭窄などの心配はない)
    2. 陰嚢形成+インプラント挿入込みで1度の手術で可能な場合が多い
    3. 比較的低コスト

尿道延長をしない主なデメリットは:

    1. 立位放尿が不可能
    2. 陰嚢形成は、陰嚢が二股になる術式を取る医師が多い (それでもわりとリアリスティックなので、これは好みの問題かと。後述のサイトの写真参照)
      • 尿道口は移動しないので、陰嚢の後ろに位置することになる

リリースのみのMetoidioplastyは、Dr. Bowersが特に施術数が多い模様。北米の医師の場合、尿道延長を伴うMetoidioplastyを行っている医師は基本的にリリースのみも行っているが、リリース専門の医師も(Dr. MedalieDr. Alterなど)。

術式解説・症例写真

マイクロペニス形成

以下、セルビアの小児泌尿外科医 Dr. Sava Perovicらによる、尿道下裂修復術を応用した尿道延長を伴う陰核陰茎形成術。あくまでDr. PerovicDr. Miroの手法で、医師によってバリエーションあり。
参考文献・画像元:Perovic, S. V., Djordjevic, M. L.閲覧注意PDFMetoidioplasty: a variant of phalloplasty in female transsexualsl. J Urol. 2003; 92: 981-985


小陰唇の内側を、亀頭の周りから膣口にかけて切開して、尿道口と陰核を包皮と小陰唇から切り離す(点線が切開ライン)。


陰核体を引き出して、背面にある陰核提靭帯を切断する。


陰核体腹面(下側)の「尿道板」に当たる部分と尿道を、陰核体から完全に切り離す。


尿道板を亀頭部で切り離し、陰核体を真直に矯正し引き伸ばす。尿道板と膣前壁皮弁を吻合する。


尿道板をチューブ状に仕立て、元来の尿道を延長する。


陰核背部(上側)の包皮を用いて縦長の島状皮弁を作り、その根元にボタン穴状の切開を施す。


行程5で延長した尿道と縫合された陰核体を、上記で作った皮弁の穴に通し(Tシャツの首から頭を通す要領)、皮弁を下に降ろす。


降ろした皮弁を元来の尿道と吻合し(部分拡大図)、管化尿道形成を行う。


延長した新尿道を亀頭腹面から包み込むように縫合し(部分拡大図)、尿道先端を亀頭先端に設置。残りの陰核包皮と小陰唇皮弁で陰茎を再形成する。


縫合し、マイクロペニス完成。大陰唇は後に陰嚢形成に使われる。

陰嚢形成+睾丸インプラント

睾丸インプラントを挿入する場合は、通常大陰唇を使って陰嚢を形成する。一度の手術でリリース、尿道延長、睾丸インプラントまで行う医師もいるが、スペースが限られているため、1回目の手術から3〜6ヵ月後に大陰唇から陰嚢を形成した上で:

拡張器(つまりはバルーン)を入れ、3〜6ヶ月かけて陰嚢に設置されたポートから注射器で生理食塩水を入れて徐々に膨らませ適当なサイズにまで印欧を拡張し、3度目の手術でシリコーンインプラントを挿入する、

又は:

小さめの睾丸インプラントを挿入し、重力と定期的なマッサージ/引き伸ばし(勿論治癒した後)によって陰嚢を拡張し、3〜6ヵ月後に3度目の手術で大きめのインプラントと交換する

などの方法がある。

また、医師によって陰茎形成方法や大陰唇の利用法が違い、陰嚢が1つになる方法(より解剖学的に自然)と、2つに分かれたままになる方法がある模様。一般的に陰嚢を1つにするには、膣閉鎖が前提。

参考:Selvaggi, G. et al., Scrotal reconstruction in female-to-male transsexuals: a novel scrotoplasty. Plast Reconstr Surg. 2009 Jun;123(6):1710-8.
大陰唇をU字型に切開し90°内側に回転させ、V-Y前進法を用いて陰茎下部且つ大腿前部に、より解剖学的に自然な1つの陰嚢を形成する。近年ではこの方法が主流とか。

尿道延長

尿道延長(urethral extention/lengthening)は、FTMのSRSの中で一番難易度&合併症のリスクが高い部分なので、行わない医師もいるし、特にMetaの場合は様々な理由(費用、成功率、合併症、SRSに対して期待するものの違い、立ちションできる確率など)で尿道延長までは希望しない患者も多い。

尿道延長術は、マイクロペニス形成と同時に行う医師と、2段階に分けて行う医師がいる(特に陰核の大きさが足りない場合)。

尿道形成に使われる組織は医師によってバリエーションがあり、以下のいずれか或いはコンビネーションが使われることが多い:

特に膣前壁を用いた尿道延長では基本的に膣閉鎖は必須だが、これも医師によってバリエーションあり。

医師によっては、尿道延長を希望する場合、『リリース+尿道延長』と『陰嚢形成・睾丸インプラント』を同時に行わず、インプラント又は拡張器を入れる手術には最低3ヶ月待たなければならない。

尿道延長の合併症で最も多いのは、元来の尿道口と新尿道の吻合部のトラブルで、以下の2つ:

ろう孔(fistula):これは新しく作った尿道に孔が開き、排尿の際に尿が尿等の外部に漏れる状態。自然に塞がることも多いが、塞がらなければ修正手術が必要。また、ろう孔が尿道と体内を繋げてしまうこともあり、その場合の治療・修正はより複雑。

狭窄(stricture):尿道が何らかの理由で細くなり、排尿が困難・苦痛になる、という状態。瘢痕組織によって起こるらしく、元々ある尿道と新しく作った尿道が繋がる部分が一番発症しやすい箇所らしい。この場合、カテーテルを入れて解消できる場合も多いらしいが、場合によっては暫くの間、尿道の通りを確保するため自分でカテーテルをダイレーター(拡張器?)として定期的に挿入しなければならなくなるとか。

The Centurion

** このセクションは情報がやや古いので、そのうちアップデートの予定 **

名前の由来は不明。テキサス州プレーノ(ダラス郊外)の開業医Dr. Peter Raphaelが比較的最近(初の手術症例は2002年)開発したもので、Metoidioplastyを改良したようなものらしい。陰核ワナ靭帯を新陰茎に組み込むことにより従来の陰核陰茎形成術よりも太めの陰茎を形成するとか。比較的新しく行っているのは開発したDr. Raphaelのみということでケース数が少なめで、未だ発展途上と言えるかと。

内摘+膣閉鎖

**UPDATE**
どうやら内摘は別に受けなければならなくなったらしい。膣閉鎖はDr. RaphaelがCenturion執刀の際に同時に行うそうである。(2006年9月現在)

ペニスの形成

腹部切開の縫合後、陰核の手術にかかる。陰核体の下部の組織から切り離すが、陰核提靭帯(通常のmetaでは切り離す)、サポートのためそのままにしておく。陰核ワナ靭帯は、根元は繋げたまま先の方から大陰唇から切り離し、その先端を亀頭の下からサオの側面に沿って縫い付けることによって、サオ全体を従来のMetaよりも太くする。この靭帯の扱い方が、従来のMetaとの違いらしい。

陰嚢の形成

陰核ワナ靭帯を切除したスペースを利用して、双方の大陰唇の内部に空洞を作り、 患者一人一人に合わせて作ったシリコン球を挿入。尿道延長の後で、二つの袋を結合させて、より自然な見た目に仕上げる。

尿道延長

手術開始前に尿道口に差し込んでおいたカテーテルを皮弁で包み込んで、元の尿道口から亀頭の先端まで縫合していく。カテーテルは術後2週間ほどはそのまま入れておいて、皮弁同士が癒着して一本の管に治癒するのを待つ。皮弁になる組織がどれくらいあるかによって尿道の長さが決まるので、結果的にペニスの長さを左右するらしい。

術式解説The Centurion Background (The Transitional Male)

The Centurion 情報交換ML・@The Centurion FTM Surgery Site (Yahoo! Groups)
The Centurion 情報交換ML・AMy Centurion FTM Surgery (Yahoo! Groups)

最終更新日:2014年3月19日

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